特集

Stones MARUHIRO × Takahiro Yasuda

2022.12.08 (木)

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Laforet Grand BazarやConvenience Wear、Goldwin、FACETASM、NIKEなどのアートディレクション、踊ってばかりの国やD.A.N.、数々のHIP HOPアーティストのビジュアルデザインなどを手がける他、自身の個展を継続的に行う安田昂弘氏。
一方、400年続く波佐見焼を生業にし、伝統を守りながらも、常に自分達の感性に正直に新しいことに挑戦し続けてきたマルヒロ。

異なる背景を持つ両者のコラボレーションは2019年に公開されたマルヒロのアートサイト「KILL TIME」から始まり、その破天荒なウェブサイトはマルヒロのイメージを刷新し、話題を呼びました。

そして、2020年から約2年の歳月をかけて今年10月に中目黒・happaにて行われた「マルヒロの今までとこれから展」にて発表したマルヒロの10周年記念本「MARUHIRO BOOK」を制作。
KILLTIMEの破天荒さとは一転、10年分のマルヒロにまつわる情報を徹底的に調べ、ストイック且つアカデミックな佇まいの事典を共に作り上げました。その傍ら、MARUHIRO BOOKのためにBOOKENDも作ろうということになり、制作したのがこちらの「STONES」です。

【Stones】

Stonesは、新素材3Dプリンター用セラミックス造形材「BRIGHTORB®」を使用したアートオブジェです。近年、安田氏の制作するモチーフとして象徴的でもある石が積まれた形状のデザインです。
中心から真っ二つに分かれる構造になっており、そのままオブジェとして使用する他、ブックエンドとしてディスプレイすることもできます。

BRIGHTORB®
セラミックスの溶融技術や製造ノウハウを活かし、AGCセラミックス(株)が開発した3Dプリンタ用セラミックス造形材のこと。
焼成収縮率が1%以下であるのに加え、3Dプリンタを用いた精細な造形体の制作が可能で、さらに石膏型を必要としないため、デザインデータから生地成形までが約2週間ほどでできるなど多くのメリットを持つ。
また、主原料である人工砂をが再生可能なため、廃棄物削減にも寄与する。
AGCセラミックス(株)は、2019年4月にイタリアのミラノで開催された世界最大規模のデザインの祭典「ミラノデザインウィーク」にてBrightorbを使用した作品「Emargence of Form」を発表し、マルヒロは釉薬協力としてサポートした。また、HIROPPAの直営店の扉の取手もBrightorb®で作られている。

Emargence of Form

HIROPPAの扉の取手

3Dプリンターから出力された「BRIGHTORB®」

通常、焼き物は石膏型を使用し生地成形を行いますが、「BRIGHTORB®」は3Dプリンターから生地が出力されるため、石膏型を制作する作業や、生地成形の工程における手間が省け、また、形状の自由度も上がります。
職人の高齢化や石膏型の廃棄問題など、焼物業界が抱える課題の糸口になるかもしれません。

今回の「Stones」の大きな特徴はなんと言っても重量。中までぎっしり生地が詰まっており、この1つのアイテムの重量は3kg近くあり、その重量感は本物の石のようです。

通常の焼物では生地の乾燥中のひび割れや、焼成の際に生地が爆発してしまうのを防ぐため、このような形状の立体物は中が空洞になっています。そのため、このような構造は通常の焼物の制作工程では不可能です。
また、「BRIGHTORB®」は吸水力が非常に高いため、釉薬の表情も通常の焼物とは異なり、とても不思議な表情をしています。

PROCESS

昨年の冬と今年の初夏の二度に渡り、安田氏が波佐見を訪れ、波佐見町の光春窯でマルヒロスタッフと制作に臨みました。
少し余談ですが、昨年の冬はなんと東京から長崎県 波佐見町まで車でいらっしゃいました。そして、その道中をグラフィックにしたアート作品「Drive my car」を2021年末にvoildにて発表しました。安田さんは毎年年末に作品を発表しており、今年もVOILDにて個展を開催中です。
詳しくはこちら

安田氏の当初のイメージ。

通常の磁器とBRIGHTORB®に同じ釉薬を施釉し還元焼成と酸化焼成で焼成、その違いを研究するためのサンプル。

施釉工程(ズブ掛け。釉薬の種類によっては、通常の焼物とは比べ物にならないほど漬けた瞬間一気に吸い込んでしまうので、引き上げるタイミングを見極めることがむずかしい)

施釉後の後処理工程。余分についてしまった釉薬を綺麗に拭う。

グレーの部分が、撥水剤の色。一度この状態で本焼成した後、撥水剤が焼き飛んだ部分に施釉し、2度焼きする。
「BRIGHTORB®」の特徴の一つとして、本焼成しても吸水性が変わらないため、複数回に分けて施釉と本焼成を繰り返すことが可能。これにより、複雑な掛け分けができる。

釉薬をムラに掛け、生地が剥き出しになっている部分に下絵具を塗っている。

施釉工程(コンプレッサーを使用し、徐々に釉薬を吹き付けていく。)

窯出し

ブランド:MARUHIRO × Takahiro Yasuda
シリーズ : Stones
アイテム:4 Cairn Bookends
サイズ: H189×W155×D128mm
重量 : 2.64kg
価格:各 275,000円(税込)

※1点もの
※左から1番目、2番目のStonesは直営店限定

発売日:2022年12月9日(金)17:00~

ブランド:MARUHIRO × Takahiro Yasuda 
シリーズ : Stones
アイテム:3 Cairn Bookends
サイズ: H189×W129×D91mm
重量 : 1.82kg
価格:各 220,000円(税込)

※1点もの

発売日:2022年12月9日(金)17:00~

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